マテリアル

視点になっている人物の周りに固有名詞をたくさん配置してどや顔されるのはあまり好きじゃないんだけど、割とスルスル読めた。
湯呑みをコーヒーカップと同定するくだりは面白かった。
ただ、分量のせいだろうけど、内容が薄い。

独特の時間が流れる作品。
インパクトのある展開勝負に持っていかなくても良かったかと。

凄く雰囲気がいいのに、こんな最後だなんて・・・

主人公の思想が淡々と語られる様が面白く、
人物像がはっきりと見えたのが大好きでした

最初はもっとシンプルな文章で読みたいなあと思った。オチはもう一歩

物への執着を愛という、読み終わってからタイトルの分かる作品。
退廃的で共感はできないが、それには叙事的な淡白さの為だろう。
しかし、それゆえに急展開にはつまづいてしまう。

最初読み終えたときはまぁまぁ位かなぁと思ったが、読み返したらなんか駄目だった。

自殺する人の多くはタイミングの悪さが原因になることが多いと思った。

「～な具合に歪んで」が2度用いられていたので、好きな言い回しだったのでしょうか。何か伏線かとおもいましたが。司法試験に落ちた人間の話なので、バイトの割にいいものを食べたり飲んだりしているのはもともとお金持ちなのかなとも。下宿と少しアンバランスな気もしました。最後はサブタイトルをつけてわけなくても良かったのでは。

・文が滑らかに繋がっていないと感じた。
　文の前後の関係が希薄。ぶつぶつ途切れているような印象。
　投げっぱなしというか書きっぱなしというか。
　そういうのってすごくナルシストっぽく感じる。
　（主人公の性格がということではなくて、文章を通して透けて見える作者像が）
・オチが気に食わない。
　死という事象に逃げている気がする。私は「死にオチは甘え」を提唱する者である。
　最後のモノローグだけでは、主人公が死を選択する動機に弱く感じる。
　もっと私を私たらしめているものについて考えを展開させて欲しかった。
　つまり「私とは何か？」ということをこの場面で主人公が考察しないのは不自然だといいたい。
・描写に魅力が足りない。
　読者に情報を与えるのに不足しているわけではない。
　ただ、魅力は無い。良い意味での「こだわり」が感じられない。
　作者が好き勝手に書けるのが描写だと思うので、もったいなく感じた。
　コーヒーを入れるシーンなんか機械的過ぎて残念だった。
・全体的な雰囲気が良い。
　完全に好みの問題だけど。選択されている言葉が良い感じ。
　でも「コーヒー」と「珈琲」の表記の揺れがうざかった。
・理屈に得心がいく。
　むちゃくちゃな理論じゃないのは好印象。

テキストとしては好きだけど、小説としてどうかといえばそうじゃないかな

思わず「え！？」と声をあげてしまうくらい驚きのある作品でした。
前半の、日々を淡々と綴る部分を読んでいた時は想像もしなかったラストでした。
とてもきれいなメリハリの効かせ方で、文章も読みやすかったです。

個人的には非常に惜しい作品でした。
下宿が焼けるまでの書きっぷりはとても良かったのですが、そのあと急に説明を始めてしまい興ざめです。

最後の展開が安直かな、と。
もうすこしなんか見せてほしいかな、と思います。