昔 フィアナという山あいの小さな町にターラという少年が住んでいた。
「おーい!みんな!明日は嵐になるから釣り大会は休みだってさ。」
町の通りを駆け抜けながらターラはそう声をかけて回っていた。
少年A「おい。またターラのやつがウソ言ってるぞ。」
少年B「ホントだ。バカだよなあ…あいつの言うことなんか誰も聞いちゃいないのに。」
ターラは町では評判のオオカミ少年だった。
毎日明日は学校が休みだの森の奥に金が出る洞窟があるだのとしょうもないウソをついては周りを呆れさせていた。
「ばあちゃんただいま!」
「おや、ターラおかえり。」
半円形の小さな石造りの家に勢いよく飛び込むとかまどの前に座って夕食の支度をしている祖母の姿があった。
ターラの家は母が亡くなっていて祖母が母親代わりだった。
父はというと遠くの町へと出稼ぎに出ていてめったに帰って来ない。
ターラは実質祖母と2人暮らしの生活だった。
「今日も遊びに行くのかい?」
「うん。友達に誘われてるから仕方なくね。行ってきまーす!」
そう言うと帰ってきて早々にターラは再び出掛けて行った。
「やれやれ…。」
ため息をつくとターラの祖母ヤーモは肩を落とし呟いた。
「なんであの子はあんなウソつきになっちまったのかねぇ…。」
「ターラ!」
町へと出る道の途中でターラは同じ学校の女生徒に呼び止められた。
ターラが立ち止まってその方向を見ると見知った顔の4人が立っていた。
ターラと同じクラスの4人だ。
「ねぇ。明後日の釣り大会に嵐が来るってウソなんでしょ?なんであんなウソ言うの?」
ターラは話しかけてきた女生徒の顔を見たまま黙っていると横から他の女生徒がさらに「ミイナのお兄ちゃんはあの釣り大会すごく楽しみにしてるのよ。そんなこと言ってたらミイナが心配するじゃない!」
ターラは目の端から1人1人女生徒の顔を見ると「…だから?」と言った。
「だからって…可愛そうでしょ!?」
「ミイナはお父さん死んじゃっててお兄ちゃんがお父さんみたいな…あっ!ちょっと…」
聞き終わる前にターラは走り出していた。
「じゃあな。」
「まだ話が…待ちなさいよ!」
「やだね。」
遠くなる彼女達を見てそう呟くとターラは町へは行かず反対方向にあるシグナの森へと入って行った。
「ターラ!」
町へと出る道の途中でターラは同じ学校の女生徒に呼び止められた。
ターラが立ち止まってその方向を見ると見知った顔の4人が立っていた。
ターラと同じクラスの4人だ。
「ねぇ。明後日の釣り大会に嵐が来るってウソなんでしょ?なんであんなウソ言うの?」
ターラは話しかけてきた女生徒の顔を見たまま黙っていると横から他の女生徒がさらに「ミイナのお兄ちゃんはあの釣り大会すごく楽しみにしてるのよ。そんなこと言ってたらミイナが心配するじゃない!」
ターラは目の端から1人1人女生徒の顔を見ると「…だから?」と言った。
「だからって…可愛そうでしょ!?」
「ミイナはお父さん死んじゃっててお兄ちゃんがお父さんみたいな…あっ!ちょっと…」
聞き終わる前にターラは走り出していた。
「じゃあな。」
「まだ話が…待ちなさいよ!」
「やだね。」
遠くなる彼女達を見てそう呟くとターラは町へは行かず反対方向にあるシグナの森へと入って行った。
シグナの森は鳥やウサギにシカなどフィアナの人達にとってかかせない食糧の宝庫で幼い頃父親に連れられてきてからはターラの恰好の遊び場になっていた。
木に登ってターザンごっこをしたり川で水浴びをしたり釣りをしたり…そんなことを始終1人きりでやっていた。
道なりに進むとやがて大きな巨木が目の前に現れた。
フィアナを見守るように立つその巨木にターラは足をかけると一気に駆け上った。
上れる所まで上ると両手で枝を掴んだまま眼下に広がる絶好の景色を見渡した。
奥の方には明後日釣り大会が行われる海岸も見える。
そんな景色を眺めながら上がった息を整えているとさっきのミイナという子の話しを思い出した。
「ゼータクだよな。兄貴がいるなんて。」
夕方家に戻るとばあちゃんが風呂を沸かす支度をしていた。
「ターラ帰ったなら手伝いなさい。ほれ。」
そう言うとばあちゃんはターラに木筒を渡した。
ターラはそれを受け取ると口に当て風呂釜の火に向かって吹いた。
その後ろからばあちゃんは割った薪をひょいとくべた。
「なぁ、ばあちゃん。」
「ん?」
「オレと同じ年の子でミイナって知ってるか?」
「あぁ、知ってるよ。ミゲルのとこの子だろ?お前の父親が漁師やってた頃はお世話になったもんさ。」
パチパチと燃える釜の火にさらに強く息を吹きかける。
「なんでうちの親父は漁師やめたの?」
「あの子には才能がなくてね…。まぁなんでも長続きする質じゃなかったからねぇ。」
「ふーん。」
「でも分からないもんだよ。あの漁の天才って言われてたミゲルが海で死ぬなんてねぇ…。」
「え?」
「よっぽど好かれたのかねぇ。」
「………。」
「ばあちゃん。」
「なんだい。」
翌日―――
ターラは学校が終わると海岸に向かった。
空は薄黒く曇っていて図らずもターラが言っていたように明日嵐が来てもおかしくない天気だった。
海岸沿いは風も強くなっていて白波が砂浜に打ち寄せていた。
海岸の砂浜まで来るとそこから山に続く丘を上った。
丘の上には小さな祠があり、そこに海の神様が祀られている。
時々この海岸には食糧の海藻なんかを穫りに来ていてよく知った場所だった。
(…昔来たときばあちゃんがよく拝んでたっけ。)
ターラがもう少し幼い頃なんかは海で溺れたりしないようにと来る度にばあちゃんはここに来て海の神様にお願いしていたのだった。
(ん?)
祠の近くまで来たところでターラは祠の前に誰かがいることに気がついた。
風の強さと坂道の勾配で下ばかり向いていたので気づくのが遅くなったのだ。
立ち止まってよく見るとそれはターラと同じ学校に通っているミイナという少女だった。
ミイナはこちらには気づかないようで目を瞑ったまま祈り続けていた。
ターラはゆっくり歩を進めてミイナに近づいた。
するとミイナもターラに気づいてはっと目を開ける。
「なぁ、ここって山の神様が祀ってあるんだろ?」
ターラは自分に気づいた様子のミイナにさっそくお得意のウソを放った。
「え…?そうね。たしか海の神様は山の神様でもあるって聞いたわ。」
(………。なんだ、そうなのか。)
ウソを言ったつもりが本当だったと聞かされて拍子抜けしたターラは話を変えることにした。
「何してたんだ?」
「明日、町一番を決める釣りの大会があるでしょ。お兄ちゃんが参加するから事故のないようにお祈りしてたの。」
「…ふーん。」
「あなたもお祈りに来たの?」
「そんなことしても意味ないぞ。」
「え…?」
「この神様、悪い神様なんだよ。」
ターラの言葉にミイナはまばたきを繰り返した。
「お前の父ちゃん、この神様が連れてっちまったんだ。兄ちゃんもきっと連れてかれちまうよ。」
「………。」
ミイナは黙って祠を見つめていた。
その様子を見て満足したターラはその場を後にした。
釣り大会の朝―――
結局ターラの予想は外れ心配されていた天気はなんとか持ち直しそこそこの天候に恵まれた大会になった。
海岸は釣りの腕前を披露しに来た腕自慢の漁師や釣り好きの連中でいっぱいだった。中には一発いいところを見せてやろうという目立ちたがりもいて大会は大いに盛り上がっていた。
そんな賑わいをよそにターラは1人丘の上の木に上ってその様子を眺めていた。
昨日の少女ミイナも楽しそうに兄と話している姿が見えた。
大会は海へ出て制限時間の日没までに戻ってくればどこまで沖に出てもよいというルールでその中でデカい魚を多く釣った者が町一番の称号を与えられるというものだった。
持ち直した空のおかげで大会は滞りなく進み夕暮れ時あと判刻で終了という合図が鐘の音で知らされた。
日が傾き砂浜には釣りをやめて戻る船がぽつぽつと増え始めた。
そして太陽は水平線の下に消え大会終了が告げられた。
それから計量が行われ、大会の結果が出るのだがターラはそれを待たずして家路へついた。
「おや、お帰り。どうだったね大会は。」
「うーん…。」
家ではばあちゃんが夕食のスープを作っていていい香りが漂っていた。
「今日は何?」
「フラ豆のスープといもの煮込みさ。そうだ、調味料が切れちまったんだ。ターラ、町まで行って買って来ておくれ。」
「え…。」
「早くしないと夕食が冷めちまうよ。」
「わかったよ。」
ターラがひとっ走り町へと向かうと町の方から来た数人の男とすれ違った。
「どのくらいまで出たんだ?」
「分からん。カイラスが見た時は岩場近くにいたってよ。」
体格のいい男達が何やら話しながら海岸への道を歩いていく。
(………?)
不思議に思いながらもターラは町へ出ると一件の店へ入った。
「いらっしゃい。なんにするね?」
「塩と香草ちょうだい。」
「はいよ。」
ターラが店を出ようとするとそこにヒゲ面の男が入って来て言った。
「ごめんよ。松明あるかい?」
「あぁ。ちょっと待っておくれ。」
店のおばさんが隅のほうへ行き松明を持ってきた。
「一本でいいかい?」
「あるだけくれ。」
翌日は朝から大粒の雨が降っていた。
ターラは傘も差さず濡れながらビチャビチャとサンダルで水溜まりを突っ切り学校へ行くと生徒が教室の真ん中に集まってざわざわと話していた。
「ターラ!」
その中の1人の女生徒が近寄ってきた。
「あんたサイテーね!」
そう吐き捨てると女生徒は輪の中に戻った。
どうやら聞こえてくる話しによると昨日の大会後ミイナの兄が行方がわからなくなったということらしかった。
教室の中にミイナの姿はなかった。
「かなり沖に出て行ったのをおじさんが見たって…。」
「オレは岩場の辺りって聞いたぞ。」
「あそこらへんは潮の流れが速くて渦が巻くんだろ?じいちゃんが言ってたぞ。」
みんな口々にミイナの兄の話しをしていた。
ターラは1人椅子に腰かけ外を見た。
ビチャビチャと固い粘土質の土の道を海岸へと走る。
海岸に着く頃には雨が全身を滴っていた。
ゼイゼイと息を吐きながら海岸を見渡すとミイナの兄を捜している町の人の姿がいくつか見えた。
雨のせいで沖まで船は出せないらしく海岸の近辺しか捜索できていないようだった。
海岸沿いを歩いて捜す人の姿もあった。
(まだ見つかってないんだな…。)
海の上では巨大な雲が威圧するように低く呻いていた。
ターラは丘の上へ上がって海岸から沖までを一望した。
沖には船はおろか人も海鳥一羽の姿さえ見当たらない。
白く波はうねりゴォォと言う風の音が鳴り響いている。
後ろを振り返るとあの祠があった。
雨風に吹かれて扉がカタカタと音を立てている。
「ただいま。」
「!どうしたんだい。びしょ濡れで。」
帰ってきたターラの様子にばあちゃんは驚いた。
「雨ん中遊んだのかい。しょうがないね。早くそれで拭きよ。」
そういうとかけてあった大きな布を指差した。
ターラはその布で体を拭くとばあちゃんに話しかけた。
「なぁ、ばあちゃん。」
「なんだい。」
「………。」
少しの間に疑問を感じたばあちゃんはターラの顔を見つめた。
「海神様って本当にいると思う?」
「…あぁ。いるさ。」
「なんで?ばあちゃん見たの?」
「見たことはないけどね。いつも見守って下さってるのはわかるさ。」
「なんで?だって見えないんだろ?」
するとばあちゃんは近づいてぐっと顔を寄せた。
ターラは驚いて一歩後ろへ下がった。
ばあちゃんの顔は真剣だった。
「…お前、ミゲルんとこのせがれのことを言っとるんだろ?」
ターラはこくりと頷いた。
全て話し終えるとばあちゃんは「なるほどねぇ…。」と言って少し黙って何かを考えたあとターラに聞いた。
「ところでお前はよくウソをつくけどなんでそんなにウソをつくんだい。」
「なんでって面白いだろ?ホントのこと言ったってつまんないよ。」
「…そうかい。」
「………。」
言ったあとにターラはちらりとばあちゃんの顔を見た。
てっきり怒るのかと思ったがそんな様子はなかった。
しばらく黙ったあとばあちゃんは再び口を開くとこう言った。
「ターラ…実はお前の母親は生きてるんだ。」
「え……!?」
いきなり話しが変わったと同時に自分にとって重要な事実を聞かせられ、ターラは戸惑った。
…が少し考えてはっとした。
「ばあちゃん…ウソだろ?」
ふっとばあちゃんの顔がほころぶ。
「…バレたかい。」
「なんだよ。急に。」
「いいかい。ターラ。これはお前の言ったウソと同じようなもんさ。」
「え……?」
ターラは真剣な顔に戻ったばあちゃんの顔を見つめた。
「お前が言うウソはばあちゃんは嫌いじゃないよ。たまにはウソも楽しいもんさ。けどね。」
そう言うとばあちゃんは息を吸い込み、続けた。
「お前のウソは真っ赤なウソっていうんだよ。」
「真っ赤なウソ?」
「あぁ。誰にもわかっちまうウソだよ。お前もそろそろ10(とう)になるんだからこれからは真っ白なウソをつけるようにならないとね。」
「真っ白なウソ…?」
「あぁ。そうさ。」
「なんだよ。その真っ白なウソって。」
「さっきばあちゃんが言ったろ?お前の母親が生きてるって。」
「うん。」
「お前はすぐウソだとわからなかったろ?」
「あぁ。」
「お前はばあちゃんがウソをつくと思ったかい?」
「…いいや。」
「じゃあ、お前の母親はウソをついたと思うかい?」
「…さぁ…?」
ターラは質問の意図がわからず首を傾げた。
「お前の母親は大ウソつきだったよ。」
「………え?」
ばあちゃんの意外な言葉にターラは目を丸くした。
「お前を産んでからすぐ病気になって死んじまったんだが、いつも苦しいはずなのに苦しくない。大丈夫だって言って死ぬ間際までお前の世話をしてた。」
「………。」
「同じウソだけど違うだろ?」
ばあちゃんは遠くに向けていた目線をターラに戻すと言った。
「お前はよく人にウソつきと呼ばれてるみたいだけど…お前の母親は¨ウソつき¨だなんて誰からも言われたことはなかったよ。」
「どうだい?意味がわかるかい?」
ターラは左斜め下を向いて考えているようだった。
「これが真っ白なウソだよ。お前も母親のような真っ白な¨ウソつき¨におなり。…まぁ、どっちにしてもばあちゃんはウソつきすぎるのは嫌いだがね。」
言い終えるとばあちゃんはターラの頭を撫でた。それは我が子を慈しむ母親のようだった。
翌朝早くターラは家を出た。
「こんなに早くどこ行くんだい?今日は学校休みだろう。」
「友達と約束してんだ。行ってきます!」
言うが早いかターラはバッと走りあっという間に後ろ姿が小さくなっていった。
「やれやれ…。ウソつきは治ったのかねぇ?」
ふぅーと息を吐くと腰に手を当てた。
雨上がりの綺麗な空気がキラキラと輝いていた。
ターラは駆け出した足で海へ海へと向かった。
「お兄ちゃんを…お父さんを返して…!お願い……。」
波はまだ荒れていたものの海はいつもの穏やかな表情を見せていた。
その海辺を見渡せる丘の上でミイナは肩を振るわせながら祠の前で崩れた。
頬には大粒の涙が何度となく滑り落ちる。
だが何度そうして願っても何の答えも返って来はしなかった。
しばらくそうしたのち泣き疲れたミイナは頬を拭うと視線を感じて振り向いた。
「………!ターラ…。」
そこにはいつからかターラがこちらを向いて立っていた。
声のかけ方がわからず、ただミイナがこちらに気づくのを待っていたのだ。
「私…ターラはウソしか言わないと思ってた。」
かすれた声でしぼり出すようにそう言うとミイナは力無く下を向いた。
「………。」
気まずい沈黙が流れる。
ターラは少し考えるとこう言った。
「…ウソだよ。」
「え……?」
「オレがホントのこと言うわけないだろ。」
「でも……。」
「じゃあミイナは兄貴が帰って来なくていいんだな。」
「そんなこと…だって。」
「オレ…見たんだ。」
「え?」
ミイナは怪訝な表情でターラを見た。
「お前の兄貴が岩場の後ろを通って向こうの島の方へ行くの…見たんだ。」
「それもウソなんでしょ?」
ターラは首を大きく横に振った。
「オレ、もうウソつくのやめたんだ。」
「……ホントに?」
「あぁ。釣り大会の日はずっとここの木に登って見てたから、間違いない。」
「………ホントなの?」
「あぁ。」
ミイナはターラの思わぬ言葉に目を大きく見開いていた。
「じゃあ…。」
「あぁ。多分ミイナの兄貴は生きてるよ。」
「………!」
ミイナの表情がパッと明るくなった。
「じゃあ…わたし…お母さんに言ってくる!」
そう言うとミイナは駆け出した。
さっきまで死にそうに崩れていた体のどこにあんな力があったのかミイナの姿はあっという間に見えなくなった。
そうしてミイナの兄の捜索は町の男達総出で行われた。
釣り大会に出場していた者からミイナの兄を目撃した情報がかき集められたが3日経っても行方は依然として知れないままだった。
ミイナとターラは毎日海岸の丘に登ってはその様子を眺めていた。
最初は元気そうだったミイナだが日が経つに連れて再び不安の表情が濃くなっていった。
そして捜索が始まって5日め、その日の捜索が終わる頃ミイナはふいに言った。
「お母さんに聞いたの…。お兄ちゃん捜すの今日までだって。」
「ねぇ…なんでお兄ちゃん見つからないの?」
「明日…」
ターラは確認するように呟くと
「明日ここに来て。」
と言った。
「え?」
「そしたら会わせてあげる。」
「ほら、乗って。」
「ねぇ…ホントに大丈夫かな?」
「大丈夫だよ。」
ターラとミイナは誰もいない海で2人小さな舟に乗っていた。
「小さい頃オヤジとよく乗ったんだ。」
「…今だって小さいと思うけど。」
「もっと小さい頃だよ。」
「お兄ちゃん…ホントに会えるの?」
「会えるよ。」
「捜索してるの見てたけど全然違うところ捜してたんだ。あれじゃ見つかりっこないよ。」
「じゃあ…ホントなのね…お兄ちゃんに」
「会えるよ!」
そう言うと力強く舟は前へと漕ぎ出した。
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