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人間なんとかなるものだ。

不思議な一夜を過ごした俺はそう思った。そうだろ?

「そうだね。あれ?」

どうした?

「いや……うん、そうだね」

そうだろ。

すがすがしい気分だよ。今の俺は、小学生よりわかいんじゃないか?

「もう、18歳だけどね」

そういうことじゃない。わかってないな。

はじめは困惑もしたさ。なんたって森羅万象にはじめましてなんだからな。

しかし、もう慣れたさ。やっぱり、人間なんとかなるものだな。

もう結構経ったが、まだどいつとも腹を割って話してはいない。

今は決別に忙しいんだ。なあ。

だがもうコツは掴んだぞ。教えてほしいか?

「まあ、うん」

全部同じなんだ。全部こんにちはでいいんだよ。

「なるほど」

俺もそろそろあいさつはじゅうぶんだと思っていたんだ。

あとはひとりひとり片付けていけばいいんだよ。

時間はかかるがな。そりゃあかかるさ。

実はさっきまで、"*****"とかいうものに悩まされていたんだ。

数時間は頭を悩まされたさ。だがもう終わった。なぜかはわかるだろ?

「そりゃあ見ればね」

そういうことだ。何事も、まずはチャレンジだと思わないか?

「適当なことは言わないほうがいいよ」

うるさい。お前こそ、適当なことを言うな。

聞いてくれよ。最近、新しいサンダルを買ったんだがどうにも足に合わない。

まったくひどい話だよ。足の形ぐらい、みんな同じだって困らないだろうに。なんだって俺の足はこうおかしいかたちなんだ。

「それはむちゃくちゃだよ」

だまれ。お前のほうがむちゃくちゃだったんだ。少しは礼儀をわきまえろ。

まあ、そろそろいいだろう。なにがって?なんでもない。

これから俺の新しい人生が始まるんだ。文字どおり新しいんだ。わくわくしてくるだろう?

「うん」

おう。お前もなかなか、わかってきたじゃないか。

それじゃあ、このへんでおいとまするぜ。一度、言ってみたかったんだ。

え?まだダメだって?

やれやれ、別れのあいさつぐらいビシッと決めさせてくれよ。強情だな、アイツも。

もういいかい?

「まあだだよ」

おい。
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