しかし、その思いはすぐに途切れた。留守だった。私は困惑した。「どこに行ったの・・?」行く宛も
ないので家の前で待つことにした。時間だけが過ぎていく。休みは日曜日も
ある完全週5制だったため、遅くなっても問題はなかったけれど何時までも
居る訳にはいかない。周りの人の目もやや痛いし。過ぎゆく人は口にはしないが、
少なからず思っていると私自身感じた。腕時計を見た。午後2時。「そういえば
お昼食べてなかったっけ、気分転換に少し出かけようかな」そう呟き私は誰も
居ない健二の家を後にした。駅前に行くと小さな喫茶店や小さなスーパーがあった。
その中で私は喫茶店を選んだ。店内に入ると意外にも繁盛していた。慌ただしく
動き回るウェイトレスの1人が私に気づくと「いらっしゃいませ! お一人様
でしょうか?お煙草はお吸いになられますか?」元気な声で私に問いかけてきた。
私は煙草は吸わないので禁煙席に案内してもらい、ナポリタンを頼んだ。
来るまでの間でも健二の事を想わずにはいられなかった。ふと前を見ると、
私は驚愕した。何と健二がいるではないか。

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