健二のみならず若い女性もいた。
会社の人だろうか?そう思いもしたが、やけにベタベタしてる。
異変に感じたのはその時だった。健二は私には気づいていないらしく、
その女性と楽しそうに会話している。店内が少し緩和されてきた頃、
二人の会話も少し聞こえた。「・・プレゼント何がいい?」「指輪がいいわ」
「ベタじゃないか?」「・・欲しいもの、お祝い事だもん」指輪、プレゼント、
お祝い事。単純に考えれば、あの二人は付き合っていた、そう思わず
にはいられなかった。でもこれだけではわからない。「5月18日に渡すよ」
「先言っちゃっていいの?」「それもそうか」間違いない、5月18日に
結婚式を挙げるのだ。二人に気づかれないように店から出た。これから
どうしようかな・・二人が付き合っている以上ここにいる意味はない。
そう感じ、その日のうちに私は札幌に帰った。帰りの飛行機の中で涙が出たが
誰にも悟られることもなかった。
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