硬く白い椅子に腰掛け、パンを噛み、肉を噛み、咀嚼する。紙で口を拭く。
炭酸飲料を喉に流し込み、それまで口に含んでいたものと一緒に胃に送り込む。
フライドポテトを二・三本同時に摘まみ、噛む。過剰に付着した塩を口の中でざらつかせ、咀嚼する。
塩辛さを紛らわせるためにまたハンバーガーを口に入れる。飲み込む。
吐き気が押し寄せる。急いで口を拭くための紙を取る。
白い紙を口の中に押し込める。何枚も、何枚も。
涙目になりながら、口いっぱいの紙を咀嚼し、無理やりに飲み込む。
息を落ち着かせる。また紙を食べる。

もう私にあの時の恐怖はない。
私が誰であるか、もう自覚する術は知っている。

食べるものは、まっさらな紙。

鏡に映る私の姿は、死んだあの男によく似ていた。
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