でも今、僕の目の前にいる美羽を見てると、どうしてか心が重たくなった。
 どうして僕はあんな台詞を美羽に吐いてしまったのだろう。自分が許せない。でも、言ってしまった言葉はあたりまえのように返ってはこないわけで、それどころか目の前にいる美羽に完全に届いてしまっている。
 僕の言葉を聞いた美羽は寂しそうな顔をしていた。でも、僕は美羽よりも、もっと複雑な顔をしているかもしれない。
 これ以上は何も美羽に言う気はなかったし、謝る気もない。だいたい、謝ってなんとかなることじゃない。もう何も言えなかった。
 僕が必死に堪えているものも、限界に達していた。
 僕の目からは大粒の涙が零れ落ちた。それは、教室の床にポタポタと、いくつもの染みを作っていった。


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