大学を卒業してから有紀と健二は同居を始めた。
有紀と遊ぶ回数も減ったが月に数回はお茶をしたりして会っていた。
普段はあまり聞かないが有紀に健二との同棲生活はどうか尋ねてみた。
「すごい幸せだよ、お互いに仕事してるからあまり顔を合わせられないけどね。
料理を作るのも人に食べてもらって喜ばれると思うと楽しくなっちゃって。」
有紀は幸せそうに語る。そんな有紀を見て嬉しくなる。嬉しいが心の底から祝福は
できない自分がいた。レズとして生まれた自分は将来どうなってしまうのだろう。
老後を一人寂しく過ごすのだろうか。それは嫌だった。しかし有紀以外に好きになる人が
現れることもなかった。男と付き合おうとも考えた。大学の頃、友達に誘われて
合コンに行ったりもした。その場限りのSEXもした。
男に嫌悪を抱くことはなかったので男を好きになるように努力をした。
だが好きという感情が生まれることはなかった。
告白されても気持ちが動くことは全くなかった。告白されている最中にも
頭に浮かんだのは有紀の事だった。有紀を自分の物にしたい。
高校の頃からずっと抑えてきた気持ちは未だに膨らむばかりだった。
しかし、さすがに堪える事が春香に降りかかった。
それは有紀の結婚であった。


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