次の日、サナエは現れなかった。
 今までだって来ない日はあった。
 でも、今日からは違う。
 当然のように思っていたが、でも何故か心が揺らいでいる。
 三毛猫も、今日は現れない。
 一人で空を見上げた。
 うろこ雲が一面に広がっていて、掛け布団に丁度良さそうだな、なんて思って。
 目を閉じると昨日と変わらない風。
 だけど、全く眠気はやってくることなく。
 予鈴が鳴る前に、階段を降りた。


 授業が終わると図書室に寄るのに抵抗を感じた。
 足取り重く図書館に到着するも、本を読む気にはなれない。
 しばらく外を眺めていると、少しずつ空が橙に染まった。
 帰ろう。
 三行しか進まなかった本を棚に戻し、下校のアナウンスが流れるころにはもう自転車に乗っていた。




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